
11月2日(土)14:08 このところ片山令子さんの本をひらいていた。ふと声に出して読んだ日もあった。台所に腰かけて。なんとなく読み出したつもりが、途中でなんども止まる。胸がつまると、声というものは、なかなか出てこないのだった。声になる前のもの。そこに大事なものがある。しずかに黙って読むときとちがって、声に出して読むと、ページの上の字間とは異なる、間ができた。片山さんの文章のあいだ、じぶんの感情がはさまる。それを確かめながら読み終えた。私の好きな歌「LET IT BE」と題された文章。「そのままでいい。そのままそこにいて、あなたが今やっていることを続けなさい」。夕方、雨があがって、自転車にのって買い物に出かけた。帰り道、気がつくと歌っているメロディがあった。これはなんだったかな。ああ。阿南亮子さんのピアノ。好きなドラマのサントラ。タイトルはたしか「見えてきたもの」。なにかを書くとき、よく聴いている曲だった。先月末、おやつ便をつくりながら、おやつをつくっていても、おやつをつくっていない気持ちがした。おやつの形をしているけれど。本当につくりたいものは、近づきたいものは、片山さんの文章を読んだとき、阿南さんのピアノを口ずさんだときの、あの気持ちのトーンと思う。