明るい歌

2022年10月22日(土)

あたらしい歌ができた。6月の庭に流れる、風のことをうたった歌。最初にメロディを口ずさんでいたのは、一昨年の6月だから、二年かけてゆっくりと形になった、静かな、線画のような歌。それは、バンドのみんなで演奏すると、思いがけず、明るい歌になった。自転車でスピード出して、かけ出していくような歌に。

じぶんのつくる歌はどの歌も、とくべつ明るいわけでも、暗いわけでも、バラードでも、アップテンポでもない、だいたいが同じようなトーンの歌。それがじぶんという人間のトーン、調子なのかなと、最近思う。歌ができるときは、イコールよい感じに生活ができているとき、という気がする。よい余白がある。落ち着いている。だから、歌も、明るい暗い悲しい切ない、の極には寄っていかなくて、そうやってつくる歌が好きだ。それをぽつぽつと、自転車の上や、台所でうたっている。

先週末、ライヴがあった。あたらしい歌も演奏した。ひとり静かに口ずさんでいた歌は、思いきり声をはりあげて、うたった。どの歌よりも、大きな声で。バンドというのは、誰かといっしょになにかするというのは、とてもおもしろい。自分の意図したものから、するすると抜け出し、こんな景色もあったのかと、気づかせてくれる。わたしひとりでは、明るい歌をうたうことの楽しさを、たぶんずっと味わえなかったと思う。